とんぼ玉作家 礒野昭子(いそのあきこ)のホームページ

【虫草くん】のおはなし

【虫草くん】

いそのんは和歌山のある山の中に棲んでいます。
この場所は、夜になるとまっくらになるたくさんの山々の連なる大地のはしっこ、人の住むところとの境界線に位置するところです。
かつてはしいたけ山と呼ばれたこともあったこの山では、今も季節になると倒木から椎茸がはえてくるのをみつけることができます。
そんな適度に湿気と、枯れ木と、落ち葉がつもってふかふかになった山の中を、でんでんむしやキノコや粘菌や、獣の足跡や匂いや糞や、 はっぱにあいた虫たちの食痕や脱皮のあとの中を、お目当てのあるものを目をみひらいて、いそのんは探すのです。

何を探しているのかって?
あれですあれ。
虫の姿をしていてすでに虫ではない。
むくろのようで腐ることもない。
その身体から、植物のように棍棒状のキノコを生やした、ふしぎな存在「虫草」
奇妙で、怖くて、不思議で、 そんな「虫草」を探しているのです。

そのいそのんの胸元には、赤い子実体の「虫草ぶくろ」に入った【虫草くん】がぶらさがっています。
これは以前みつけて大地から掘り出したウゴウゴタケの【虫草くん】で、いそのんの宝物なのです。

いそのんは何日も山をさがし、とうとう、土の中から少しだけ、にょいっと頭をのぞかせている 子実体をシイの木の根元の落ち葉の中でみつけました。
この子実体は、またもやウゴウゴタケのものにちがいありません。
なんともワクワク、そしてドキドキ。

今度のウゴウゴは、どんな姿でウゴウゴタケになっている?

虫草がひとつあるところには、ほかにもあることがよくあります。
まわりを探してみると、もう2つ。
虫草は命と命の関係と不思議を感じる宝物。
慎重にゆっくり、ドキドキと掘り上げていきます。

掘りながらいそのんは命のことを考えています。
虫が虫草に変わるって、虫の命がキノコに渡されるってことよね。

じゃあ、命って終わらないで形を変えるだけって考えることもできるね

いそのん説「命エネルギー保存の法則」

掘り上げた虫草くんは奇妙でちょっと怖いけど宝物

いそのんの、虫草さがしはこれでおしまい。

とっぴんしゃんのぷー

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